📣 unity1week online共有会 #11(つたえる)を見たので感想メモ

はじめに

(u1w共有会ってなに?という方はこちらの動画を参照→1分でわかる!📣 unity1week online共有会 - YouTube

unity1week終了後のお楽しみであるu1w共有会が先日行われ、アーカイブ動画もアップロードされました。


主催の青木ととさん及び、登壇者の皆様、大変ありがとうございました。
今回も全発表見ましたが、どの発表も切り口が様々で面白かったです。
以下、全セッションの感想メモを書いていきます↓

 

1. Seaeees: E-999のつくりかた

Seaeeesさんによる、今回のunity1weekで話題沸騰だった「E-999」の制作記です。
まず驚いたのが、製作期間短っ・・・!

ただ、短い中で「技術検証を真っ先に済ませる」、「完成して一旦寝かせてから一般投稿」など、要所でツボを押さえている開発手順が印象的でした。これはどんなジャンルのゲーム開発に限らず、真似したいですね。

そして今回、プロットは深夜テンション・・・というお話でしたが、短期開発だからこそ、深夜テンションでネタが新鮮なうちに一気に走り切るというのが濃密な作品を出せた理由なのかもしれない?と思いました。

また、ゲームの目玉であるファイルのアップロード・ダウンロード機能はC#からJavaScriptスクリプトを呼び出すJslib が使用されたそうです。

参考:【Unity】WebGLでのJavaScriptC#の連携 | デバッグライフ (debug-life.net)

これはunityroomへの応用の幅が広そうで、アイデア次第で色々な演出ができそうでワクワクします!

最後の「なぜこんな短期間で作れたか」の項目もとても大事そうです。

  • 時間のかかる機能を削り、最小限に
  • 好きなこと・やりたいこと・(技術的に)可能なことの引き出しをたくさん持つ

開発前の引き出しはたくさん用意しつつ、1つのゲームでは尖らせる箇所を決めて他は削る…という思い切りこそが、伝わるゲームの特徴なのかもと思いました。

 

2. ニム式: Photon Fusion for UnityでCinemachineを使いたいだけの人生だった

ニム式さんがunity1weekで Photon Fusion + Cinemachine を使おうとして、詰まった箇所の共有発表です。
マルチピアモード初めて知りました(マルチピアの情報がネット上で全然見つからないので発表がありがたい…)

本題の「詰まった件」ですが、なんと合計6敗したそうです…1week期間中にこれは大変ですね。
どうやらPhoton FusionでCinemachineを使うのが適さないパターンがあり、今回のゲームでは「オンラインだとカメラ移動が大幅に遅れる」という現象が起きてしまったようです。
仕様的に合わないのか、実は組み合わせによってはいけるのか、まだ未知数・・・。

Photon Fusion は2022/03リリースなのもあってまだまだ使用者レポートが少ないので、ニム式さんの情報源が引き続きありがたい存在になりそうです!

参考(ニム式さんのQiita記事一覧):nimushiki - Qiita

 

3. 41h0: はじめてのちゃっとじーぴーてぃーげーむせいさく

最近ウワサの「ChatGPT API」を利用してゲームを作った41h0さんによる開発談です。
ChatGPT API にも無料枠があったようです(すごい)。

発表では、ChatGPTへ「回答に対して満足度を0~10で答えてください。満足度の数値は「」で囲ってください」と依頼し、そのスコアを取り出してゲーム内スコアとする実装の話が面白かったです。
ゲームシステムの応用の余地があるのもいいですね。

また、質問のたびにAIの中で別人格が召喚される話もなかなかインパクトがありました。同じ回答でも、人格ごとに満足度スコアが変化する…?

最後の感想ページで、ChatGPTを用いたゲーム体験を「魔法の体験」と例えているのも印象的でしたね。
特に今はChatGPTが出始めであり、各々がゲームへの活用法を探っている状態であるため、何が飛んでくるのか分からないっていう状況も相まってまさしく「魔法の体験」なのかもしれません。

unity1weekに限らず、今後ChatGPTをうまく絡めたゲームが出てきそうで楽しみです。

 

4. ChocolaMint: プログラマーがVisual Scriptingを使ってみた

台湾から登壇のChocolaMintさん。Unityでノンコードで開発できるVisualScriptingを使った体験談です。
結論から言うと、2023年現在のVisualScriptingを使うのは「依存性を調べる検索機能が付いていないから、修正するときがとてもつらい」というものでした。

プログラマ目線で、どこが辛かったのかがダイレクトに伝わってくる発表で、非常に面白かったです。

ソースコードURL:https://github.com/chocola-mint/U1W_ShijiQuest

他にも、「PlaymakerArbor 3」のようなビジュアルスクリプトの代替アセットなども挙げられており、ノードベースの実装に関する知らない情報が多くて面白かったです。
また、今回の発表ではVisualScriptのデメリットだけでなく、「データのやりとりが可視化されて、コードより分かりやすい」などの視点もあって、プログラマがノードベースを使うことのメリットも伝わってきました。

UnityのシェーダーがShaderGraphで組まれてることが多いのを見るに、VisualScriptの検索機能などが今後改善されていけばどんどんUnityの裾野が広がるのかも?と明るい未来が見えました。

ノードベース、今後に期待です。

 

5. ようさん: ADVを簡単に作れるライブラリを作る

発表者のようさんはMidraLabというコミュニティを立ち上げており、発表はその活動内で作成したEasy ADVライブラリの話でした。

Fungusという既存ライブラリの不便な部分を踏まえ、テキスト打ち込みをGoogle Sheetで完結できるようにカスタムしているのが素晴らしいですね。やはりライブラリを自作 or カスタムできる人は強い…。

また、.NETで音声処理まわりを実装できるNAudioの話だったり、Koeiromap(自分好みの声が作れるサービス)など、音声周りの話も興味深いです。

ようさんが開発された、Unity向けOSSも気になりますね。

 

6. MetaFormer: 外の世界に羽ばたけunity1week

unity1week TeamUp!! を立ち上げたMetaFormerさんによる、TeamUp立ち上げの体験談です。(スライドの癖がすごい)

こういうのがあったら良さそう」という需要をくみ取って立ち上げる企画力と、界隈外の面識のない方へコンタクトを取る行動力が脱帽ですね。尊敬…。

個人ゲーム開発者にとって、プログラム以外の担当が欲しいけどツテが無い…というのはあるあるの悩みなので、それ解消する懸け橋の前例となって欲しいなと思いました。

ゲーム開発勢と別界隈のマッチングを行う企画は今後も引き続き行われるようなので、今後にも期待…!

(Unityに限らず需要がある企画だと思うので、どんどん大きくなりそうな気がします)

また、MetaFormerさんがBMS界隈にも詳しいので、サウンド系のマッチングも実現可能な雰囲気を感じてわくわくします。

 

7. うすい しお🧂:  ChatGPTで遊ぼう!

ChatGPTでゲームを作成したうすい しおさんの開発記です。

数学の関数のように何かしらinputし、そのOutputを得るという仕組みをChatGPT・ゲームへ一般化していく視点が非常に面白かったです(考えたこともなかった…)。

だからこそ、"ChatGPT「というゲーム」で遊ぼう"というゲームシステムができていったのですね。

また、入力を制限する話で、

  • ChatGPTのシステムを柔軟に生かせるように → 入力を制限する
  • お題当てが難しくなりすぎないように → 入力できるものは料理名だけ
  • 料理名を当てる → ゲームのストーリーが思いつく

という流れで、ゲームメカニクス→テーマ→ストーリーという流れでゲームの全体像から細部へ決まっていく流れがお見事ですね。

特にストーリーに関しては、自分は「どうやって思いつくんだ…?」と全く見当がつかず頭を抱えることが多いので、こういう流れでできていく、というのはぜひ真似したいと思いました。

 

 

8. RDAG: UniRxとVContainerでUI実装RTA

unity1week常連のRDAGさんによる、「UniRx・VContainer入門」の入門LTです。
「UniRx・VContainer、なんか聞いたことあるな~」ぐらいの状況から脱出できる非常にありがたい発表でした。

ボタンUIを実装するときに、

  • 【普通】ボタン処理の中に、メニュー処理を書く
    • (ボタンはメニューを持つ)

  • 【UniRx(イベント駆動)】ボタン押下に反応して、メニュー処理が走る
    • (メニューがボタンを持つ)
    • (ボタンのインスペクタを触らなくて済む…!)



また、VContainerは以下のような「神クラス」的な依存関係を防ぐことができるようです。

ところで、UniRx・VContainerの役割が分かったので次は具体的な使用例も知りたいですよね…

と思っていたところ、なんと視聴者プレゼントでUniRx x VContainerでUIを作ってみようのサンプルプロジェクトが配布されたようです!嬉しい。
↓↓↓
GitHub - paldynojosh/UISample_u1w202303

 

9. powder: あらゆるものに挑戦し、限界駆動開発をして得られたアレコレ

今回のゲーム開発の中で、数多く「初めての挑戦をした」というpowderさんの開発記です。

個人的に一番刺さったのが「想定通りに遊んでもらえるかの確認方法」の話です。

ゲームを想定通り遊んでもらえないのを防ぐために「他の人に遊んでもらって確認する」というのがよくあります。

ただ、もっと楽に自分1人でも確認する方法として「ゲームを2倍速にしてプレイする」という話題が挙がってて、おおお・・・!!と思いました。

手軽に真似できそうでありつつ、効果が絶大そうなのが良いですね。

他にも、

  • アイデアメモはPC / スマホの両方で共用できるNotion
  • ゲームアイデアを大量に出す → 1アイデアから思いつくギミックを出来る限り羅列 → ゲームの方向性を定める
  • まずは実装! → 構想だけでは得られない、ギミックの副産物が得られるから

などなど、ゲームのコア部分の決め方の話も具体例が挙がっていて非常に勉強になります。

副産物の話も初めて聞いたのですが、個人的にはとても納得感がありました。「過程でたまたまできたものがめちゃくちゃ面白い」という偶然性をちゃんと捕らえるのも、ゲーム開発で大事なのかなと思いました。

 

10. Indigo Ingots: 絵が描けなくても出来る、絵作り&雰囲気盛り盛り術

Indigo Ingotsさんによる、「ゲーム内でいかに素材を有効活用するか」に焦点を当てた発表です。
絵を置くだけでなく、小物をプラスして状況説明を追加する話はとても大事だなと思いました。
神は細部に宿る、という言葉がアセット使用時にも活かせそうですね。


素材はただ素材として使うのではなく、いかに組み合わせるかで作家性だったり世界観が構築できる…なので、

  • 同じ素材が使われる場合でも、作者によってゲームカラーに違いが出てくる

と言えそうです。個性って、改めて面白いなと思いました。
同一素材ゲームジャムとかがあると面白いかもしれませんね(…?)

 

おわりに

今回はChatGPTの話題が多く出ていて、イマドキだ…と思いました。

次回のunity1weekが開催されるころには、さらに状況が変化しているのか動向が気になります…

(次回はChatGPTが登壇…?なわけ…)

次回のu1w共有会も楽しみですね!

 

スライド共有一覧(見つかったものだけ)