Ludum Dare 53 に初参加しました。イベント概要・参加時の注意点など備忘録メモ

画像は公式トップページをキャプチャしたものです

はじめに

現在評価期間中(~5/20)のゲームジャムLudum Dare』に参加してます。

48時間縛り(遅刻不可)・ゲーム内の全要素を自分1人で用意が条件というなかなかクレイジーな制限ルールですが、普段から1人でゲーム作っている勢にとっては相性抜群なルールに惹かれ、勢いで参加してきました。


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宇宙空間で蕎麦を配達するゲーム を提出しました。
PCブラウザ上で遊べます
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さて今回の記事では、

  • そもそも Ludum Dare とは?
  • 部門ごとのルール制限
  • 周りの参加作品の様子

…など、初参加の自分目線で色々とイベントの様子をメモをしておきたいと思います
(参加のハードルを下げて、あわよくば次回も参加したいため)

Ludum Dare とは?

Ludum Dareは英語圏で行われる、世界最古のゲームジャム(初出2002年)*1だそうです。

年3回のペースで定期開催され、今回でなんと第53回目の開催。提出ゲーム数は毎回2000を超える様子。多い!
毎回とても賑わっているようです。

そして、前回のLudum Dare 52 の優勝作品である「Boba」という作品なんですが、なんと作者はあの「Inscryption」を開発したDaniel Mullinsさんだそうです(!?!?)

引用:https://ldjam.com/events/ludum-dare/52/boba

というより、そもそもInscryption自体が元々は『Ludum Dare の参加作品』から始まったゲームだそうです(Ludum Dare 43 で総合2位だった作品『Sacrifices Must Be Made』が原型)

すごい…!

ここまでの話を聞くだけでも、だいぶ Ludum Dareに惹かれますね。

Ludum Dare のルール

基本的には、「お題が1つ発表されるので、お題に沿って時間内にゲーム作る」というゲームジャム方式です。事前の参加申請なども必須ではありません。
イベント開始時間になった直後にお題が出るので、そこから作成開始となります。

例:Ludum Dare 53 のテーマ公開風景(今回は Delivery でした)
テーマ候補は複数存在し、参加者の事前投票によって希望を寄せたりすることもできるそうです(自分は今回投票しなかったので割愛)

しかし、この Ludum Dare には2つの部門(Compo・Jam)があり、部門によって提出できるゲームが大きく異なります。厳密にはより制限の緩いExtra部門もありますが、主流ではないので割愛
両者の違いは以下の通りで、基本的にCompoの方がルールの制限が厳しく、制限時間も短い*2印象です。

そしてCompo部門の一番のミソは「ゲーム内のすべてのコード・コンテンツはその48時間以内に作ること」だと思われます。

基本的に素材使用は全てNG*3で、全て48時間以内に作ることを要求されます。

これは中々ハードな制限となりそうです…
ただ、自分の戦闘力を力試しする場としてはとても面白いと思います。

ところで、自分はこのルールを「(サードパーティ製ライブラリを含む)外部アセット利用不可」と受け取り、UnityのUniRxInputSystemなどの定番ライブラリも一切控えてしまいました。
実際、今回はこれでルール違反などを指摘されずに済みました。

しかし、開発ツールやライブラリに関しては、ソースコードが公開できる限り、あまり神経質になりすぎなくても大丈夫なのかもしれません。

以下は公式ルールページ(英語)の引用です。

Everything required to make the source work should be available publicly. If 3rd party libraries and tools are required, free or paid, that’s fine. If you’re using an internal library, to participate in the Compo, you will be required to share it.

If you are unable to share your code, we suggest you participate in the Jam instead.

引用:Ludum Dare Rules | ldjam.com | Ludum Dare game jam

太字部分が「ソースコードが公開されるなら、フリーor有料でもサードパーティ製ライブラリ・ツールを使っても良い」という意味だと思われます…

この辺りは提出後もよく分かってない…ので、他の参加者のUnity提出コードを見比べながら調べてみたいと思います…

(情報募集中です…)

一部評価項目を除外した時の注意点

とはいえ、「全部作れないなら参加不可」では厳しすぎるためか、「この項目は素材を使ったので、評価しなさいでください」のように一部評価を除外(opt-out)できる救済措置もあるようです。

  • 例:BGMはフリー素材を利用したため、Audio項目の評価を除外

ただし、「投稿作品は20以上の評価を得ないと最終ランキングから除外される」というルールがあり、除外項目が増えるごとに、1人から貰える評価数が減っていきます。

↑評価項目数はデフォルトで8個ある

  • 例:8項目中4項目を除外したため、1人あたりから貰える評価数は最大0.5。最終ランキング評価対象になるには40人以上から評価をもらう必要あり

なので、項目の除外は基本的にしない方が安全なのかもしれませんね。

他の参加作品がどんな感じか、所感

ゲームエンジン:自由

Web上で動くものからexe形式まで、幅広く存在する印象でした。
100作品ほどCompoの提出ゲームを遊びましたが、自分が観測できたのは以下の通りです

  • Unity
  • Unreal Engine
  • Godot Engine
  • PICO-8
  • Haxe
  • PixiJS
  • 俺々ゲームエンジン(Rust, JS, etc...)
  • Web(HTML...?React...?)
  • Excel (←!?エクセル持ってないので動作確認できず)

などなど。他にもありました

このごった煮感がとても面白く、実際にゲームを起動するまで「これは何を使って作られたのだろう?」と想像する時間すら楽しいです。
また、普段あまり目にしないゲームエンジンで作られた作品(さらに、ソースコードまで公開されている)は、このイベントならではの魅力で非常に興味深いです。個人的には、Godot EngineをWebGLエクスポートする方法などが気になっています。

ただ、Webで動作しないものはファイルを毎回ダウンロードする必要があるため、他の参加者のゲームを多くプレイするのにはややハードルが高いかもしれません。

投稿ゲームの様子:多様

参加ゲームのレベルは多様で、こちらもごった煮感がとても面白かったです。
ただし、制限もかなりキツい上に製作時間は48時間(遅刻不可)なので、Compo締切直後は「そもそもエラーで起動できないゲーム」がそこそこありました…*4
一方、開発の制限時間が短いゆえに、より「開発者がどの要素に一番重きを置いたか(もしくは、全ての要素を均等にしたのか)」というのが明確に分かるのも面白いなと思いました。
また、レベルの高いゲームは本当にえげつなくて「これを48時間は嘘だろ…?」と、腰が抜けそうになりました。
個人的に、現時点で好きなCompo部門のゲームを貼っておきます。


全てのポストに到達できればクリアのグリッド型パズルゲームです。
全ての要素が高水準な上に、レベルデザインまできっちりと練られており、
化け物か…と思いました



ワイヤーアクションが非常に爽快な、高難易度2Dプラットフォーマーです。
操作感も気持ち良く、何よりも曲の盛り上がりがとても刺さりました。



(個人メモ:Ludum Dare のゲーム一覧画面で、ソートの条件を「Grade(レビューの多い順)」にすると話題作を見つけることができる)


また、Ludum Dare は毎回Compo部門が一番参加者多いのかな?と思ってたのですが、今回は3倍ぐらいの差でJam部門のゲームが多かったです。

Jamが1725作品、Compoが491作品。引用:https://ldjam.com/events/ludum-dare/53/stats

直近15回開催のLudum Dare の参加比率を見てみましたが、15回全てでCompoよりJamの方が参加作品が多い、というのがずっと続いているみたいです。 

(ただ、「Compoの提出間に合わなかった!」→「Jamならまだ追加で24時間ある!」という途中変更ルートもある気がするので、何とも言えません

まとめ

そんな感じで Ludum Dare の紹介記事でした。

なかなか制限の多い修羅ゲームジャムでしたが、そんな修羅を潜ってきた方が世界各地にこんな大勢いる…と思うとちょっと元気が出ますね。自分も頑張ろうと勇気づけられました。

また、記事途中でも触れましたが、Ludum Dare の Compo 部門 は「参加作品のソースコードが見られる」が強すぎるので、過去参加作品とかも見ながら色々と開発テクニックを吸収できたら面白いなと思います。

 

他にも、今回の記事の本筋とは外れますが、ChatGPTのおかげで海外ゲームジャムのルール確認や英文でのコメント記入なども行いやすくなったため、参加の敷居が下がったのも良い時代ですね。

 

---脚注---

*1:48時間でゲームを作るイベント「Ludum Dare 47」が開催中。開発スキルを磨いたりアイディアを出したりするチャンス – IndieGamesJp.dev

*2:例として、今回の Ludum Dare 53 のスケジュールは日本時間で以下の通りでした。

*3:※一部例外あり(引用:Ludum Dare Rules | ldjam.com | Ludum Dare game jam):

  • フォントは素材使用OK
  • テクスチャマスク、ブラシ、ドラム、ループ、サンプル音源、その他類似のアセットは、それらが派生作品を作成するために使用される場合に限り、許可(つまり素材を無加工でそのまま使うのはNG?)

*4:Ludum Dare 主催チームからの救済措置として「致命的なバグ修正のみ、締め切り後も修正を認める」としています

Certain Bug Fixes are allowed. You can’t add new features, but if something broke or didn’t work correctly as you were finishing up, you can fix this after the deadline. You are asked to highlight the changes you make in your submission (a short change log). You probably wont get a 2nd chance with some players, but at least it wont be a problem for future players.

引用:Ludum Dare Rules | ldjam.com | Ludum Dare game jam